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#地下水資源
熊本地域の地下水量保全に向けた可視化事例
プロジェクトの背景
熊本地域では、現在も水道水源のほぼ100%が地下水で賄われています。この豊かな地下水は、阿蘇の火砕流堆積物や砥川溶岩などの水を通しやすい地層と、白川中流域の水田からの涵養に支えられており、琵琶湖の貯水量を大きく上回る地下水量があるとする研究もあります。
一方で近年は、半導体関連企業の集積や都市開発、農地減少により、地下水を取り巻く状況が変化しています。こうした地下水需要の変化や保全対策の効果を把握するため、本業務ではシミュレーションモデルを用いて、地下水の流れや水収支の実態を整理し、将来の地下水位の低下リスクや地下水賦存量の変化を予測しました。
プロジェクトのアプローチ
検討では、気象、土地利用、地質、水利用などのデータを収集し、これらを基に3次元シミュレーションモデルを構築しました。作成したモデルを用いて、地下水の現状の再現および、将来の変化を見通すため、以下の検討を行いました。
1.熊本地域の現況再現シミュレーション
構築したモデルを用いてGETFLOWSによる解析を実施し、現地で観測されている地下水位、河川流量、水質などを再現できるパラメータセットを同定
2.現在の水文環境の推定・評価
地表水と地下水の流動経路を粒子追跡線解析※1)により推定するとともに、熊本地域の地下水の賦存量や移動量を水収支※2)として集計・整理
3.将来変化の予測
気象、土地利用、水利用などの条件を変更した解析を行い、将来起こり得る地下水位や地下水賦存量の変化を予測
※1)任意の地点や深度に粒子(水)を配置し、解析領域内でどのように流れていくかを追跡する手法
※2)対象とした集計範囲における水資源の賦存量や、鉛直・水平方向の移動量を定量的に評価したもの
成果物
シミュレーションモデルによる現況再現を通じて、熊本地域における地下水の流れを推定し、図や動画として可視化しました(図1)。また、水収支の結果から、地下水の賦存量や流入・流出の状況、経年変化を定量的に評価しました(図2)。さらに、地下水取水量の条件を変えた解析により、取水による中長期的な水位影響の範囲や程度を予測しました(図3)。これらの成果は、地下水保全対策の施策検討や、県・事業者・住民の合意形成への活用が期待されます。

▲ 図1 シミュレーションモデル(GETFLOWS)により推定した熊本地域の地下水の流れ[i]

▲ 図2 地下水の流入量・流出量の変化[i]

▲ 図3 取水による地下水位低下の影響予測[ii]
[i] 熊本県環境立県推進課(2023)「地下水保全の取組みについて」, 熊本県, https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/231649.pdf
[ii] 熊本県環境立県推進課(2025)「地下水量保全の取組(地下水の可視化編)」, 熊本県, https://www.pref.kumamoto.jp/site/mizunokuni-kumamoto/225613.html
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