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#広域解析
国土・全球スケールの水循環モデル
水循環を、全球で日本域で視る
水循環は、降水、地表流、河川流、浸透、地下水流動、涵養、湧出、蒸発散が相互に関係する動的なシステムです。河川流量、地下水位、湧水量、涵養量を個別に見るだけでは、流域や地域で生じている水の動きを十分に説明することはできません。
地圏環境テクノロジーでは、統合型水循環シミュレーションシステム GETFLOWS を基盤に、地形、地質、土壌、土地利用、植生、気象、水系などの情報を3次元モデルとして統合し、地表水と地下水の相互交換を連成して解析します。
その広域展開として整備しているのが、世界の陸域水循環を俯瞰する「全球水循環モデル」と、日本国内の詳細な情報を組み込む「国土水循環モデル」です。
比較項目 | 全球水循環モデル | 国土水循環モデル |
|---|---|---|
モデル化方針 | 全球で一貫して利用できる汎用データを用い、主要大陸スケールの陸域水循環を広域に再現するモデル | 国内で整備されたローカルデータを組み込み、日本域の地形・地質・気象・水系条件を高密度に反映するモデル |
解析対象 | 南緯60度から北緯84度程度の全球陸域 | 日本全国。ただし、島しょ部等は使用データの整備範囲に依存 |
空間離散化 | 10分 × 10分格子。赤道付近で約18.6km | 0.25分 × 0.25分格子。代表設定で約500m |
鉛直構造 | 25層、標高-3000mまで | 25層、標高-3000mまで |
入力データ設計 | 全球スケールで整備された外部データを、格子ごとの地形・水系・地質・土壌・土地利用・植生・気象条件へ変換 | 国内向けに整備された外部データと推定値・派生データを、格子ごとの地形・水系・水理地質・土地利用・植生・気象条件へ統合 |
地形・水系 | AW3D30、GEBCO、HydroSHEDS、HydroLAKES、GLOBathyなど | 基盤地図情報DEM、GEBCO、日本域表面流向マップ、国土数値情報、HydroLAKES、GLOBathyなど |
水理地質・土壌 | SoilGrids、USGS世界地質図、全球地形に基づく風化・弛み区分を用い、表土・被覆層・基盤岩類の水理物性を設定 | 日本土壌インベントリー、森林土壌物理特性データ、日本シームレス地質図V2、第四紀層厚・平野区分・風化面を用い、日本域の水理地質構造を詳細化 |
気象外力 | CHELSA v2.1、ERA5、ISIMIP / CMIP6系GCM入力など | メッシュ平年値2020、気象庁解析雨量、農研機構メッシュ農業気象データ、ERA5、ISIMIP / CMIP6系GCM入力など |
土地利用・植生 | GLCLUC2019、ESA CCI PFT、樹高、樹木密度、GSI、作物カレンダーなど | JAXA高解像度土地利用土地被覆図、国土数値情報、ALOS森林クラス、樹高、樹木密度、GSI、作物カレンダーなど |
観測・検証データ | GRDC-Caravanなどの河川流量観測データ | 国内河川観測点、ダム流入量データ |
主な利用単位 | 大陸、国、大流域などの広域単位 | 流域、自治体、地域課題、拠点周辺などの詳細単位 |
リンク |
全球汎用データで世界を俯瞰し、国内ローカルデータで日本域を精緻に表現
全球水循環モデルは、全球域の陸域を対象に、世界で一貫して利用できる汎用データを用いて構築します。地形、気象、水系、地質、土壌、土地利用、植生などを格子単位で整理し、大陸、国、大流域といった広い単位で陸域水循環を俯瞰します。気候変動、水不足、広域的な水資源リスクなど、国境を越えて変化する水の問題を捉えるための基盤となるモデルです。
一方、国土水循環モデルは、日本国内で整備された詳細なローカルデータを組み込み、日本域の水循環をより高密度に表現します。基盤地図情報DEM、メッシュ平年値、解析雨量、日本シームレス地質図、国土数値情報、国内河川観測点やダム観測データなどを用い、地形・水系・水理地質・気象・土地利用・植生を日本の実情に即してモデル化します。
全球モデルは、世界を同じものさしで俯瞰するためのモデルです。国土モデルは、日本国内の詳細な地形・地質・気象・観測情報を組み込み、流域や地域の水循環を精緻に読むためのモデルです。この二つのモデルにより、広域から地域まで、水循環を科学的に可視化する基盤を整えています。
地表水と地下水を連成して解析
GETFLOWSでは、地表水と地下水を別々の現象として扱うのではなく、両者の相互交換を連成させ、流域水循環系として一体的に解析します。これにより、地表水・地下水の流動経路、地下への涵養、地表や河川への湧出、河川流量や地下水位の変化を、同じ3次元モデル領域内で評価します。
国土水循環モデルおよび全球水循環モデルでは、この解析技術を広域スケールに適用し、降水、蒸発散、地表水・地下水の流入・流出、涵養量、湧水量などを水収支として整理します。地表に現れる水だけでなく、地下を介した水の移動も含めて扱うことで、流域や地域における水循環構造を定量的に把握します。
これらの情報は、水資源管理、防災、環境保全、自然関連開示、企業拠点の水リスク評価などに活用できる科学的な検討・説明の基盤となります。
広域モデルから、流域・拠点の判断へ
水リスクや水資源の課題は、拠点周辺だけで完結するものではありません。上流・下流の土地利用や水利用、地下水と河川のつながり、涵養域、湧出域、周辺の保護地域や生態系との関係を含めて、広域的な水循環構造を把握する必要があります。
国土・全球スケールの水循環モデルは、こうした広域条件を把握するための基盤であり、必要に応じて流域や拠点スケールの詳細解析へ接続します。
これにより、水の動きを地図上の情報として示すだけでなく、水収支、流動経路、涵養域、湧出域、地下水と河川の関係などを、判断に使える科学的な情報として整理します。
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