特徴

GETFLOWSの対象とする水循環過程の概念図

従来から、河川流出解析、氾濫解析、地下水解析、それらを概念的或いは物理的に結合した陸域水循環モデルが欧米やわが国で多数開発され、多くの研究者・技術者の利用や実際の意思決定等に供されています。

GETFLOWSは陸域水循環モデルの一つですが、最大の特徴は、表流水と地下水の相互交換がを連成したことで、対象とする流域水循環系をより自然に即して捉えられるようになり、適用性が広がったことにあります。また、多相多成分(例えば、Gas/Water系、Water/Liquid 系、Gas/Water/Liquid系)の概念に基づく定式化、今までに実現が困難であった表流水と地下水の完全水理的連成、熱や土砂の輸送を包含したもので、極めて統合された地圏流体シミュレーションシステムとなっています。並列処理も利用でき、非常に大規模な3次元問題、例えば、数千平方キロメータ以上の領域の水循環を数百万個オーダーの離散格子を使って非定常解析することも可能となり、実用的で信頼性の高い予測・評価を行うことができます。

主な適用分野は、ダム建設計画や流域資源量評価における貯水・渇水量予測、地下水盆帯水層評価などの『水資源問題』、洪水・氾濫予測、豪雨時における斜面崩壊、津波侵入などの『水災害問題』、重金属、農薬等による土壌・地下水汚染や放射性廃棄物の地層処分などに代表される『水環境問題』です。

シミュレーションシステムの特徴としては以下が挙げられます。

  • 地表水と地下水の両者を完全に一体化した流域解析が可能(地表面における降雨の地表流・浸透・地下水湧出・河川流れ)
  • 流体の保存則(質量保存則、熱量保存則)を厳密に解く完全陰的差分法による解法
  • 3次元コーナポイント型差分格子による空間表現柔軟性、独自の高速ソルバー(前処理付き共役残差法)によりロバストな数値的安定性を実現、逐次陽化処理による高速化機能を搭載
  • 変化の著しい領域(格子群)を個別に解き,袖領域でのコミュニケーションを行いながら全体系の解を得る領域分割機能を搭載
  • PCクラスタを用いた並列計算により、数百万格子規模の大容量高速計算を実用化

地圏空間における一般流体システムの表現

対象フィールドを6面体格子により離散化し、格子毎の流体相・流体成分(水、気体、非水相流体)と土や岩石の固相の状態量(圧力、飽和率、温度、濃度など)を解き、一般流体システムのダイナミクスを解析します。

水の流れを切れ目なく解析する

地上に降り注いだ雨が地下へ浸み込み、地盤中を流動し、一部が谷地へ湧き出し渓流水となって流下する、地下へ浸み込めない場所では、地表水となって直接流出する、自然本来の切れ目のない水の流れを解析します。

自然状態の初期化

流域モデルの計算開始時点は、一般に観測が開始される付近であり、シミュレーションではこの時の圧力・水飽和度の状態が必要です。しかし、全ての格子点に人間が指定することはできないので、GETFLOWSでは次のような方法をとります。
まず、はるか昔の時点を想像して初期状態を与えます。もっとも簡単な方法は、最初、地下が水で飽和して、地表は水がなかった状態を仮定することです。ここから一定の降雨を与えて計算を開始すると、標高の高い位置の地下水は地表にわきだし河川水となり、地下水位は低下を始めます。長い間計算を継続すると、地表水と地下水が均衡するように分布し、流域の平衡状態が得られます。
次に、季節変動する降雨を与え続けると、流域の季節的な変化が見え始めます。さらに降雨の日変化を与えて計算を続けると、ようやく観測開始時点のモデルの状態が近似的に生み出されます。

自然の状態を作り出す方法:初期に地下が水飽和・静水圧状態から出発すると、標高の高い地点の地下水がわきだし表流水が形成され始める。やがて、地下水と地表水が落ち着き平衡した状態が出来上がる。さらに季節変動・日変動を与えて、観測開始時点の状態を作り出す。

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