よくある質問

質問項目

解析手法について

Q:なぜ差分法か?

 一般に流体解析では差分法と有限要素法が使われますが、両者には物理的精度と数学的精度の2つの側面でやや違いがあります。 有限要素法の有利な点は、空間表現の柔軟性にあることはよく知られています。構造格子を使う差分法はその点で表現が苦手です。どちらの手法も完全ではなく一長一短があります。

 流体解析では、流体成分(水、空気、汚染流体など)の質量保存を完全に満足することが重要です。有限要素法(FEM)は対象領域全体で重み付き残差をゼロに近づけるよう解かれるため、1つ1つの要素の成分毎の質量保存は必ずしも保証されません。有限差分法(FDM)を採用するGETFLOWSでは1つ1つの計算格子の各成分について、その「入(inflow)」と「出(outflow)」および貯留量変化から求められる質量保存則を満足するように数値的に解いています。数値的精度、数値解の安定性、ロバストさ等の面でも多くの実績を有しています。また、地表のマニング型流れや、不飽和状態のダルシー流れのような非線形性の強い流れや圧縮性流体を扱いますので、有限要素法は適用が難しい場合があります。

Q:コーナーポイント型差分格子って?

 一般的な差分格子は、碁盤の目のように立方体や直方体が配置された形状を利用します。「コーナーポイント型」とは、1つ1つの3次元格子(6面体)を構成する8つの頂点の3次元座標(X、Y、Z)の値をある程度柔軟に設定できるようにしたもので、6面体格子の体積や格子間のつながりは形状に合わせて補正するものです。ただし、柔軟とは言っても、あまり歪んだ格子(要素)は数学的に見て有限要素法でも差分法でも好ましくありません。できるだけ滑らかに漸移する格子を作成することが推奨されます。

Q:空気相の考慮は必要?

 一般的な飽和・不飽和解析では、空気の存在を考えた不飽和パラメータ(相対透水係数、毛管効果)を使い水の流動を追いかけます。空気自体は存在はするものの、流れないし圧力も変わらないと仮定しています。これに対し、気液2相解析では、物性の大きく異なる両者の動きを追跡します。

 地下浅部の大気圧下の飽和・不飽和浸透流解析であれば、2相解析と有意な差は出ないと考えられます。しかし、地層中に空気を圧入して汚染浄化をする、地下に高圧ガスを貯蔵し漏洩時の安全評価をする、気圧変化に対する間隙圧応答をシミュレーションするなどの解析では空気を考慮した2相解析が必要になります。GETFLOWSでは自然界に卓越する流体である空気(強圧縮性流体)と水(微圧縮性流体)の流動を常に同時に追跡します。なお、水相に気体が溶ける効果、気相に水が蒸発する効果なども考慮することができます。

Q:ソルバーの数値的安定性は?

 GETFLOWSでは前処理付き共役残差法(PCR)というソルバーを採用しています。Nested Factorizationと呼ばれる前処理と逐次陽化解法の採用によって、計算速度・数値的安定性の面で実用的速度の計算を可能としています.

実フィードのモデル化について

Q1:モデル化範囲の決め方は?

 流域モデルなどは、尾根筋或いは深い谷筋を連ねた範囲を取り、そこを地下水に関して閉境界と考えるのが一般的です。これによりモデルの水収支が考えやすくなります。ただし、地質構造によっては尾根が閉境界にならないことがありますので、そのような状況が想定される場合にはより外側の尾根で囲うなどの対処をします。モデル底部は,地下深くが難透水岩盤であることを仮定して、想像される地下水流動の深さ以上に水平に取ります。

 GETFLOWSでは地表層と大気層をおきますが、境界は地下から鉛直に立ち上げます。流域には河川の流出する地点が必要なので、そこは開放境界になるように設定します。最上部の大気層は、薄く間隙率は数値的無限大として設定します。(詳細な説明はマニュアルに掲載されています)

なお、2次元問題や3次元問題で圧力固定や流量規定などの境界条件を適用することがありますが、それによって不自然な挙動が出ないように、注意して計算を進めることが必要でしょう。

Q2:調査データのない範囲をモデル化して意味がある?

 近年は、地表面より上の情報(地形・土地利用・植生・表層地質・気象データ)は日本全国どこでも公開データから入手可能となりました。世界的にも公開データが整備されてきています。一方、地下のボーリング情報、中小河川の水位観測、地下水位の観測などが利用できる地域は極めて限られています。ほとんどの地域は調査データの不足した地域(ない地域)とも言えます。
実は、水循環モデリングはそのような場で、フィールドの踏査による地質的知見や地表観測情報を利用して地下を推定するための極めて科学的なツールになると考えられます。例えば、地表の湧水点の位置・湧出量、大雨の時の出水・氾濫の様子、渇水期の湧水や渓流の様子なども地下を知るための極めて有用な情報で、モデルから地層の透水性の概略推定も可能となります。逆に、モデル解析結果から地表踏査・観測やボーリング調査の重要地点を割り出し、そこでの調査結果をモデルにフィードバックし、それを繰り返すことで地表・地下の水理状態が次第に明らかになることが期待されます。データのない地域を如何に解明するかは、まさにモデリングがその一端を託されたものと考えています。

Q3:三次元モデルはどうやって作成するか?

 流域の3次元モデルを作るには、まず流域の2次元格子を考えます。次に数値地形情報によって設定した格子点上で標高値を取得します。平面位置は鉛直に地下まで延長し、各店の地層深度を与えることで3次元格子が作成されます。これらの作業は、一般にGISやデータ処理プログラムを使って行われます。

Q4:断層はどうやってモデル化?

 断層は走行・傾斜、破砕帯の状況(高透水性か断層粘土により低透水になっているか)などを考えた設定が必要になります。また、一般に断層は一枚の割れ目ではなく、雁行構造のような形でとびとびにできるものです。GETFLOWSの格子は構造格子ですので、格子に斜めの断層はギザギザの形で挿入します。また、深度方向は、断層に傾斜がある場合には深さ方向に階段状となった格子列として表現します.格子には6方向の異なる浸透率が設定できるので、断層周辺の破砕帯や内部充填状態の考慮も可能です.断層内(破砕帯内)の流れを表現しない場合(断層が不透水)は,格子の特定の方向の浸透率を0にするなどで設定できます.

Q5:対象スケール(時間・空間)は?

 数値シミュレーション上は時間的・空間的スケールの制約はありません。基本的に同じ物理現象(法則)が成り立つと仮定した上で、数mmスケールの室内試験系から数1,000km超スケールの大循環系、時間的には秒単位から数億年というような未来まで伸ばすこともできます。

解析機能について

Q1:プリ・ポストプロセッサーは利用できる?

 Windows環境では入力データ作成支援ツールをご用意しております。専用のインターフェイスを用いてGETFLOWSの実行に必要な入力データを効率的に作成することができます。また、ポストプロセッシングは主に市販のGISや3次元可視化ソフトウェアで行います。ArcGIS、MapInfo、MicroAVS、TECPLOT、Paraviewなどは、GETFLOWSの標準出力データからのフォーマット変換ツールをご用意しております。

Q2:気象流体の解析はできるのか?

 大気中の運動方程式(Navier-Stokes方程式)を解いていませんので、流体力学的な正確さで空気の動きを表現することはできません。GETFLOWSでは圧力勾配に比例した高浸透性空間の空気の動きをStokesタイプとしてモデル化しています。これにより、大気圧の変動に伴う空気の穏やかな流れや、地上層と大気層との空気の交換が表現されています。なお、将来的にはメソスケール数値気候モデルや他のスケールの数値モデルとの結合により、気圏・地圏統合解析を行うことも考えています。

Q3:独自の個別モデルを組み込むことができるか?

 可能です。お客様独自に開発作成された個別モデルをGETFLOWSに組み込み、コンパイルすることができます。これまでに、蒸発散、融雪、化学種吸着、かんがい、施肥に関する個別モデルの組み込み事例があります.

解析上の留意点について

Q1:GETFLOWSを用いる際に最も留意しなければならない点は?

 モデル計算での留意点はいくつもあります。GETFLOWSに限らず、どのような水理シミュレータを使う際にも共通するのが、扱っている場や現象に対する知識・理解と想像力、かと思われます。水文・水理・地質学などの基本的理解や知識がないとモデル設定やパラメータ設定の不自然さに気が付きません。入力データや出力の妥当性は、シミュレータの収斂速度などをチェックしたり、グラフィクス、グラフプロットなどを利用して、十分解釈・考察する姿勢が大切だと思われます。

Q2:不自然なモデル化とは?それを見つける方法は?

 不自然なモデル化とは、科学的知見から見て境界条件やパラメータがおかしなモデル表現全般を指します。計算時に、時間刻み幅が大きくならなかったり、ソルバーやニュートンループの反復計算の収斂が極端に遅い状況から不自然さがわかる場合もあります。一般的には、計算出力をグラフィクスにより図化し、圧力や飽和率などの分布をみることが重要です。

計算時間について

Q:計算時間はどれくらい要する?

 計算に必要な時間は、モデルの格子数、対象とする流体系(解くべき状態量の数)、物性値、外力条件によって異なりますが、一定条件の外力を与えて領域初期化(数万日以上の長期平衡計算)を行う場合の目安は次のとおりです。

 

計算格子数 流体相、成分 自由度数 計算時間 並列化の要否
~10万 2相2成分 ~20万 数分~数時間
~10万 2相4成分 ~40万 数時間~12時間
~10万 3相5成分 ~50万 数時間~24時間
10~30万 2相2成分 20~60万 数時間~24時間
30~80万 2相2成分 60~160万 24時間~3日
100~200万 2相2成分 200~400万 24時間~5日 必須
200~300万 2相2成分 400~600万 5日~7日 必須
300~500万 2相2成分 600~1,000万 7日~10日 必須
500万~ 2相3成分 1,500万~ 7日~ 必須

 

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